こんなときだから地元旅。

新型コロナウイルスによって、私たちはさまざまなライフスタイルの変革を求められた。最初は戸惑うことばかりだったけれど、少しずつ慣れてきた自分もいて、驚くと同時に、まだまだ馴染めないライフスタイルもあって、考え悩みながらの生活が続いている。

悩んでいることの1つが"旅"について。

緊急事態宣言が解除となり、政府はGo toトラベルキャンペーンを打ち出したりと、少しずつ旅に出ることが認められつつあるけれど、それでも、旅することや県を越えた移動について否定的な考えや躊躇する人も多い。
自分としても、100%安全ということがないだけに、万が一のことを考えるとなかなか積極的に旅に出ることが難しい。

ウイルスについての情報や政府の見解、周りの環境などにより、刻一刻と状況や私の心境は変化していくので、現在思っていることを残しておこうと思う。(もしかしたら、また数日後には考え方は変わっているかもしれない。)



そもそも、私はコロナウイルスに対して、神経質で、恐怖心も強いほうだと思う。
もちろん感染したくないし、他の人に感染させたくない。大好きな家族といつでも安心して暮らしていきたいから、できる対策はやっていきたいと思っている。もちろん、マスクは必ずするし、公共交通機関はできるだけ利用しない、歩いて行けるところは歩く。1日に何十回も手洗い消毒をして、購入した物は全て除菌シートで拭いてから冷蔵庫にしまうし、洋服も毎日洗濯機でガシガシ洗える服にシフトチェンジするといった日々を送っている。

私の住む北海道は早くからウイルスが入ってたこともあり、2月頃から外食・旅行は全くしていなかったし、目的もなくウインドウショッピングをすることもやめていた。

正直、最初の頃は主人とは何度か衝突するほど、私はピリピリしていた。少しずつ話し合いを重ね、今では主人も理解してくれていて、同じように過ごしてくれている。

もともと旅に関しても、旅は大好きだけど、危険を伴うような旅はしたくないという考えなので、社会情勢や気候・旅行地の感染症の流行など、リスクが高いと感じる時には行き先を変更したり、そもそも旅行自体を取りやめる場合もあるような人。

だから、コロナ渦における旅についてはとても考えさせられている。

こんな性格の私だから、最初は仕事以外一歩も家から出ないという生活を続けていた。でも、緊急事態宣言が開けた頃、条件付きで少しずつ出かけてみてもよいかもしれないと思い始めた。

その条件というのは、
●公共交通機関を利用しないでいける場所
●できるだけ人に会わないところ
●密にならない環境
●食事をする場合は個室
●感染予防に必要な持ち物を持参する
のような感じである。
上の条件をみたし、さらにマイクロツーリズムと言われる近場の場所から、でかけてみようと思った。

仮に宿泊を伴わなくても、十分ステキな旅になる。
そう思って、車で行けるドライブからスタートすることにした。

コロナウイルスが騒がれ始めてから初めてのドライブは、手作りのお弁当を持参して、見晴らしの良い、地元の道の駅に行くことにした。
道の駅の駐車場に車を止め、道の駅のトイレで手を洗い、持参したアルコールスプレーで手指消毒をし、車の中で景色を見ながら主人とお弁当を食べた。車の中から景色を眺め、そのまま帰宅した。

以前のことを考えるととても物足りないし、たぶんちょっと神経質になりすぎていると思うけれど、それでも良い息抜きになった。

それからというもの、少しずつ、同じようにお弁当を持ってドライブに出かけた。

そして、先日。
はじめて宿泊を伴う旅行に出かけた。
もちろん県を越えず、自宅から車で行けるところ。旅館選びも慎重に。出来るだけお部屋から出ずに完結できる宿を探した。
客室数が多すぎないこと。客室露天風呂が完備されていること。お食事はバイキングではなく、懐石風。食事の時は個室か席と席の間隔があいていて、少人数制であること。

さらに持ち物も工夫した。リネン類は自宅から持って行ったし、アルコール除菌グッズもふんだんに持参した。マイ箸・マイコップも持参した。もしかしたら、これだけでは対策は十分ではないかも…と思いつつ、スイッチや取っ手など除菌できるところは除菌して部屋から出ずに過ごした。

窮屈に思える、制限付きの旅だけれど、良い変化がいくつかあった。

私の住む北海道は素晴らしい自然と景色に包まれていて、生まれてからずっと住んでいるのに知らなかった場所や風景がたくさんあることに気がつけた。
車で少し走るとびっくりするほど自然に囲まれているし、戻ってくると、東京には遠く及ばないけれど、自分の街もとても都会的で、高速道路から見下ろす自分の街はすごく素敵だと思えた。

それから、大学時代に免許を取ったきり、ほぼ運転していなかった私だけれど、主人に教えてもらいながら少しずつ運転もするようになった。できることが少し増えたようでワクワクした気持ちになれた。

自分の足で自分の地元の良さを再確認するいい機会となった。

本音を言えば、大好きなハワイへもいきたいし、まだ行ったことのないところへどんどん出かけたい。でも、私は不安を抱えながらだと十分に旅を楽しめない性格なので、今はこれが精いっぱい。

自分で決めた条件だけれど、それでもお出かけするときは頭の隅にコロナウイルス のことがこびりついていて、以前のように心の底から楽しめていない自分がいる。報道などで感染対策をしていたはずの場所でクラスターが…などと聞いたりすると、とても怖くなる。そんな中で幾ばくかの不安とともに家の外に出ている。

私は、すぐには、どんどん距離を伸ばすような旅に出るようにはならないと思う。

しばらくは、薄く開けた扉の隙間から首を出し、周りをキョロキョロ警戒して、"いまだ!"というタイミングに近くへ出て行き、また急いで扉の中へ戻る。
薄く開けた扉の外が、少しでも不安に包まれていたら、その時はまた中に籠ることもあると思う。
まるで、巣穴から外敵が居ないか見計らっているリスやうさぎのように。

行きつ戻りつだけど、それでも少しずつ外に出る、そして、自分の地元を楽しむ。そんな日々を模索しながら過ごしていこうと思う。
2020.8

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